株式会社オリィ研究所が運営する「分身ロボットカフェ DAWN ver.β」では、ALS/SMAなどの難病や重度障害などの理由で外出困難な人々が分身ロボット(OriHime、OriHime-D)の遠隔操作者(以下：パイロット)として、カフェサービスを提供しています。オープンしてまもなく1年が経つカフェでは、ベテランパイロット達が1人で複数のOriHimeを使い、複数の箇所で店内全体の状況を見ながら接客し、配膳する風景まで出てきました。

そこで今回、慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科（KMD） 南澤孝太教授らの研究グループは、ムーンショット型研究開発事業 ムーンショット目標１「人が身体、脳、空間、時間の制約から解放された社会を実現」の達成に向けた研究開発プロジェクト「身体的共創を生み出すサイバネティック・アバター技術と社会基盤の開発」（プロジェクトマネージャー：南澤孝太）の一環として、株式会社オリィ研究所と共同で、パイロットがカフェ空間において複数のロボットを操作し、テーブル接客をしながら配膳をするなど、複数の接客を同時に行える「複数アバター分身実験」の公開実験＆イベントを開催します。

株式会社オリィ研究所が運営する分身ロボットカフェでは、約70名の外出困難なパイロットたちがOriHimeを使って、お客様からオーダーをとったり、配膳したりするなどの就労実験を2018年から行っています。

2021年6月から東京・日本橋に常設実験店を構え、もうすぐ1年を迎える中、ベテランパイロットたちが1人で複数のOriHimeを使い接客するケースも見られるようになりました。複数のOriHimeを同時に操ることで、複数の箇所に同時に出現し、お客さんや店内全体の姿を見ながら接客したり、1台のOriHimeでテーブルのお客さんと会話しながらもう1台のOriHime-Dでそのテーブルにドリンクを配膳するといったことが可能になっています。

しかし、上記の方法では複数のブラウザを一つのモニター内に同時に開き、操作を切りかえるなど、かなり複雑な操作を必要としていました。そこで、本プロジェクトでは、1名のパイロットが複数のOriHimeの操作を容易に行え、1対1の分身から1対複数という「分身の分身」が可能になる遠隔操作環境に拡張しました。

この遠隔操作環境によって、分身の分身が容易に可能となり、多くのパイロットが複数のOriHimeを操作しテーブル接客をしながら配膳をするなど、一つの身体に囚われない、より拡張された仕事をこなすことが可能になることが期待されます。

2022年6月23日(木)には「分身ロボットカフェ DAWN ver.β」において、この新たな遠隔操作環境を用いたカフェのサービスを実際に提供する公開実験を行います。また、公開実験後には、実験の様子の振り返り、ムーンショット型研究開発事業ムーンショット目標１が推進する人々の多彩な技能や経験を共有できるサイバネティック・アバター技術がつくる未来像を考えるトークイベントを開催します。

※プロジェクトマネージャー（PM）南澤孝太 慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科（KMD）教授より
私たちの研究プロジェクトでは、OriHimeのような分身ロボットをはじめとするサイバネティック・アバター技術を、多様な人々が自らの経験や能力を拡張するための「もう１つの身体」として発展させることで、障害を超えて誰もが社会の中で活躍できる未来を創り出すことを目指しています。その最初の一歩となる今回の実証実験に、是非ご来場ください。

イベント概要

イベント名

複数アバター分身実験 in 「分身ロボットカフェ DAWN ver.β」
Parallel avatar experiment in AVATAR ROBOT CAFE DAWN ver.β

日時

6/23(木)14:00-16:30 ※開場：13:50
14:00-15:00 公開実証実験
15:00-16:30 トークイベント

場所

分身ロボットカフェ DAWN ver.β
〒103-0023 東京都中央区日本橋本町3丁目8-3 日本橋ライフサイエンスビルディング3 1階

参加申し込み

参加申し込みはこちらのウェブサイトからお申し込みください。
https://cybernetic-being.org/activities/202206_parallel_avatar_robot_cafe/

詳細

14:00-15:00	公開実証実験 ※定員：24人
	カフェ空間において複数のロボットを操作し、接客をしながら給仕をするなど、複数の接客を実際に体験いただけます。
15:00-16:30	トークイベント ※会場定員：45人
	本プロジェクトの制作背景や、実験の様子の振り返り、人々の多彩な技能や経験を共有できるサイバネティック・アバター技術がつくる未来像を考えるトークイベントです。

※トークイベントはProjectのYouTubeチャンネルでもリアルタイムで配信いたします。
https://www.youtube.com/channel/UC-1cahsKmWuGN_KtXwqPSzA

※予定は変更になる場合があります。変更などの詳細はプロジェクトサイトにて告知いたします。
https://cybernetic-being.org/

※公開実証実験は、1回を定員4名とし、計6回実施いたします。参加申し込みはウェブサイトからお願いいたします。また、体験は相席での体験となりますので、ご了承ください。

※イベント当日は、動画、写真撮影などを行います。また、トークイベントの様子もオンライン配信されます。ご了承ください。

トークイベント出演者

• マサ(OriHimeパイロット)
• 吉藤オリィ(株式会社オリィ研究所)
• 川口碧(慶應義塾大学KMD)
• 加藤寛聡(株式会社オリィ研究所)
• 笠原俊一(株式会社ソニーコンピュータサイエンス研究所)
• モデレーター：南澤孝太(慶應義塾大学KMD)
  ※出演者は変更になる場合があります。

主催

慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科
（ムーンショット型研究開発事業ムーンショット目標１「身体的共創を生み出すサイバネティック・アバター技術と社会基盤の開発」(Project Cybernetic being）代表機関)

共催

株式会社オリィ研究所

プロジェクト・関係機関のご紹介

※科学技術振興機構 ムーンショット型研究開発事業について
内閣府が主導する「ムーンショット型研究開発制度」は、超高齢化社会や地球温暖化問題など重要な社会課題に対し、人々を魅了する野心的な目標（ムーンショット目標）を国が設定し、挑戦的な研究開発を推進するものです。
https://www.jst.go.jp/moonshot/index.html

※Project Cybernetic beingについて
本プロジェクトは、ムーンショット型研究開発事業ムーンショット目標1「2050年までに、人が身体、脳、空間、時間の制約から解放された社会を実現」研究開発プロジェクト「身体的共創を生み出すサイバネティック・アバター技術と社会基盤の開発(Project Cybernetic being）」です。人々が自身の能力を最大限に発揮し、多様な人々の多彩な技能や経験を共有できるサイバネティック・アバター技術を開発します。技能や経験を相互に利活用する場合の制度的・倫理的課題を考慮して、人と社会に調和した、身体的な技能や経験を流通する社会基盤の構築を目指します。
https://cybernetic-being.org/

プレスリリース

[プレスリリース]1対1の分身から、1対複数の分身へ：分身ロボットカフェにて複数アバターへの分身実験イベントを開催