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分身ロボットOriHimeが拓く、移動困難者の新たな働き方

― パナソニック株式会社との実証を経て見えてきた、遠隔就労の可能性―

株式会社オリィ研究所(本社:東京都中央区、代表取締役:吉藤 健太朗・笹山 正浩、以下「オリィ研究所」)は、パナソニック株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役 社長執行役員:豊嶋 明、以下「パナソニック」)と共同で、分身ロボットOriHimeを活用し、普段分身ロボットカフェで接客業務に従事する、移動困難な障害者人材が企業の業務に遠隔で参画する実証を2025年11月から3か月間行いました。この実証実験について、4月23日にパナソニックとのトークイベントを実施いたしました。

 

【OriHimeが移動困難者の「働く場所」を企業の中へ広げる】

これまで、障害のある移動困難者が企業の業務に参加するには「現地に赴くこと」が前提でした。しかし、分身ロボットOriHimeを活用すれば、自宅等から企業のオフィスに「存在」し、社員と対話しながら業務を遂行することが可能です。

本実証では、パナソニック社内の「社員紹介記事の作成」という業務を、分身ロボットカフェで日々接客を行う移動困難な障害者人材(OriHimeパイロット)が担当。OriHime・ビデオ会議・チャットツールを組み合わせることで、インタビューの実施から記事執筆までを完全遠隔で完結しました。

「現地参加が当たり前」という概念を覆し、テクノロジーの力で移動困難者の職域を拡張できることを、実際のビジネス現場で証明した結果となりました。

 

【コミュニケーション力がイメージを変え、「共に働く仲間」へ】

本実証では、普段分身ロボットカフェで働くOriHimeパイロットのコミュニケーション能力が、インタビューに協力したパナソニック社員から高く評価されました。

実証に参加した社員17名中16名が、障害者人材の「仕事への能力・意欲」への認識がポジティブに変化。全員が「障害者人材と共に働きたい」と回答しました(「非常にそう思う」10名、「ややそう思う」6名)。

これはOriHimeパイロットが接客業務で活かしている「コミュニケーション能力」「対話力」「業務適応力」を、企業の業務に応用できた結果だと考えられ、障害者人材と共に働くことへのイメージ醸成にも寄与しました。

<参加したパナソニック社員の感想(一部抜粋)>

  • 「働けないのが普通、働けなくても仕方ない」と考えていた自分の価値観がガラリと変わった。
  • OriHimeの顔が動いて視線が合うことで実際に話しているような感覚になった。OriHimeの繊細な動きとインタビュアーの話の引き出し方も相まってすごく円滑なコミュニケーションが取れ、有意義な時間になった。この取り組みによって私たちと共に働くことができる人が一人でも増えたらうれしい。
  • 私自身、障害がある方に対するアンコンシャスバイアスがあった中、パイロットと接し考え方が180度変わった。コミュニケーションスキルが高く、相手を惹きつける話し方、即座に対応できる頭の回転の速さ、深堀してほしい論点を突いていた点など、スキルの高さが最も印象に残った。
  • パイロットの「要点をまとめる能力」「適切な言い換えの能力」「業務を行う上でこちらが悩んだ点をズバリと当てる洞察力」に驚き、このような高い能力を持つ方と一緒に働きたいと強く思った。

本実証を通じて、OriHimeパイロットのコミュニケーション力や人と向き合う力が企業の現場でも自然に発揮され、移動困難な障害者人材が「配慮される存在」ではなく、「頼りにされる仲間」として職場に溶け込む可能性が示されました。

 

【本実証関係者コメント】

パナソニック株式会社 エンプロイーサクセス推進部 部長 兼 DEI・組織開発室 室長
小泉朱里氏

パナソニックは創業者・松下幸之助の『物をつくる前に人をつくる』という考え方を受け継ぎ、一人ひとりが自らのポテンシャルを『UNLOCK(アンロック)』し、挑戦し続けることができる環境づくりを推進しています。現在の障害者雇用における課題の中でも、特に能力発揮の機会不足を大きな機会損失と捉えています。障害者人材がスキルやポテンシャルを発揮し、事業の中で価値を生み出すことができると考えています。

 

オリィ研究所 事業本部 事業開発チームマネージャー
相嘉 駿甫

正解のない障害者雇用という領域で、パナソニック様のように影響力を持つ企業が新たな一歩を踏み出すことに大きな意義があると思います。本実証を契機に、身体的制約に縛られず個人の可能性を重視する雇用が広がることを期待しています。

オリィ研究所は今後も企業・自治体と連携しながら、OriHimeを活用した遠隔就労の仕組みを社会に実装してまいります。「移動困難者のはたらく選択肢を豊かにする」の実現に向け、ひとりひとりの能力が発揮できる新たな雇用のあり方を広げていきます。